エマルジョンとは?

エマルジョンとは?
概要
エマルジョンは、スクリーン印刷において、メッシュにデザインを固定するために使用される光硬化性の液体コーティング剤です。感光性があり、露光後に硬化します。
一般的な素材や仕様
エマルジョンの素材には、通常、ポリビニルアルコール(PVA)やポリウレタンが使用されます。仕様としては、感光性、硬化時間、耐久性が重要で、特定のインクや溶剤に対する耐性も考慮されます。
詳しい用途
エマルジョンは、スクリーン印刷の工程でデザインをメッシュに固定するための重要な資材です。以下に、エマルジョンの詳しい用途について説明します。
まず、スクリーン印刷の準備段階で、メッシュにエマルジョンを均一に塗布します。このプロセスは「コーティング」と呼ばれ、エマルジョンコーターを使用して行います。コーティングの目的は、メッシュ全体に均一な層を形成し、後の露光段階でデザインが正確に転写される基盤を作ることです。エマルジョンが乾燥すると、メッシュは感光性を持つようになります。
次に、デザインフィルムをメッシュに重ね、露光機を使用して紫外線(UV)を照射します。この過程で、光が当たった部分のエマルジョンが硬化し、デザインがメッシュに固定されます。露光時間はエマルジョンの種類や仕様、光源の強さによって異なりますが、正確な時間を設定することが重要です。適切な露光を行うことで、シャープで精度の高いデザインがメッシュに転写されます。
露光後、未硬化のエマルジョンを洗い流す「現像」工程に移ります。現像は、水や特殊な洗浄液を使用して行い、露光されなかった部分のエマルジョンを除去します。この過程により、メッシュにデザインの透過部分が形成され、インクが通過するための開口部が作られます。現像が完了すると、スクリーンは乾燥させ、印刷の準備が整います。
エマルジョンの種類は、使用するインクや印刷物の特性に応じて選択されます。水性インク、油性インク、溶剤ベースのインクなど、異なる種類のインクに対して耐性を持つエマルジョンが使用されます。また、高精度が求められる場合や、特定の耐久性が必要な場合には、特殊なエマルジョンが選ばれます。例えば、耐溶剤性のエマルジョンは、過酷な条件下でも耐久性を保ちます。
さらに、エマルジョンは、環境や作業条件に応じた特性も持つ必要があります。湿度や温度に影響を受けにくいエマルジョンや、短時間で硬化するエマルジョンが利用されることもあります。特に、短納期のプロジェクトや大量印刷の場面では、速乾性と高い硬化速度を持つエマルジョンが重宝されます。
エマルジョンのメンテナンスも重要です。使用後は、メッシュからエマルジョンを完全に除去する「脱エマルジョン」作業を行います。専用の脱エマルジョン剤を使用して、硬化したエマルジョンを取り除き、メッシュを再利用可能な状態にします。この作業を適切に行うことで、メッシュの寿命を延ばし、コストの削減にも寄与します。
このように、エマルジョンはスクリーン印刷において、デザインの転写と固定を行うために不可欠な資材です。適切なエマルジョンの選定と使用、メンテナンスにより、高品質な印刷物の生産が可能となります。エマルジョンは、スクリーン印刷の精度と効率を向上させるために、重要な役割を果たしています。